慢学インドネシア {歴史は繰り返すか 歴史は教えられるか}
 
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6 常夏の夜の夢

見過ごされている事実
好むと好まざるとを問わず、インドネシアはイスラム教を信仰する地域である。
日本人にとって、過去現在を問わずイスラム教とは殆ど無縁である。
砂漠のフイフイ教か、よくて回教(輪になって踊る)の認識で、海を渡っての近代文明がキリスト教徒によって齎された事、敗戦で圧倒的物量で淘侵したアメリカン・クリスチャンの影響で、同じ出所の一神教でも野蛮なもの、進んでいるものと格差をつける風潮が出来上がった。
それは最近の湾岸戦争でのイラクや、原理主義イスラムのテロ行為に嫌悪して倍増した。
古来両宗教は時代によって一進一退を繰り返し、古代から中世にかけてはイスラム教徒は圧倒的勢力をヨーロッパからアジアに及ぼし宗教のみでなく数学、医学、化学など伝播させた。キリスト教徒は産業革命から近代にその勢力を挽回したに過ぎない。
その怨念から植民地時代に横暴を極めたのが現在の地域紛争の主因となっている。
中東、旧ユーゴ、バルカンから東アジア、アフリカ諸国、印・パ、中国北西部。
イギリス・フランスは旧植民地モスレムの大量逆流で、人口構成すら変化しているといわれる。
現今イスラムは先進国から嫌悪されながらも、世界に版図を広げている。
キリスト教諸国はそれがまた癪の種にもなる。これはもう体質的問題であろう。
白人特にアングロ・サクソンには、'キリストの御名のもとに'世界に覇権を求める潜在的な欲望がある。アメリカ合衆国に限っても、理由はともかく、誇大妄想と言われても、建国以来の西進欲、ゴーウエストは一時も休まず、原住民を抹殺し、アラスカ、ハワイ、グアムを手中にしながらフィリピンを属国とし、中国にまで干渉し、挙げ句遂に日本を屈服させたのは、政治手法の違いデモクラシイとファシズムだけでは考えられない'事実'である。
歴史は時の権力によって書かれるが、人種差別(アメリカ、イギリスの皮膚差別は変わっていない)で太平洋戦争も、東洋人イエローモンキイが列強に伍すのが耐え難く、あらゆる手段と方法で封じ込め作戦A・B・C・D包囲陣でエネルギーを断絶した結果の生き残り戦争だったと極端な論説もある程だが、まんざら虚構でもない。
大消費地を持つアメリカに職人物作り国日本は抵抗できないだけでなく、彼等念願の軍事基地を確保した。日本は食料輸入も含め属国化してしまった。

第二次大戦後、戦勝国は戦時技術を結集し、世は正に資本主義消費経済に翻弄されて、世界は一極収斂をはじめて、大量生産大量消費の非常に危険な状勢を加速している。
地球の危機といわれる原因の全ては人為的なもので、欲望を求めて際限無く暴走するこの資本主義の利益追求経済に起因している。
資源浪費が技術革新で進行が押さえられても、根本的な価値感の転回無しには、行き着く不幸な結果は早いか遅いかの違いでしかない。
自然回帰とは申せ、おおかたは企業が造った人工的な消費を助長するような自然志向でしかない。
自然を愛するといっても人為的ムード嗜好で、アジアの自然融和思想とは根底から異なる欧米の自然征服思想の変形である。

有限な地球資源を人類平等に享受するには、価値感の一大転換なしには回復は出来ない。
それは華美飽食の濁冨から清貧、つつましい共同体への変身で、生存コストを引き下げなければならない。人口爆発でのエネルギー食料危機が叫ばれるが、主因は先進国の身勝手な浪費が占めると言われる。それはとりもなおさず西欧型浪費から東洋型節約への切り替えであり、アジアの原点に帰ることでもある。
目を見開いて何が真の価値なのかを会得する必要がある。
世界人口は遂に60億人の大台を突破して、生物種としての自己崩壊危険水準を突破した。
しかし先進諸国の食料浪費は加速こそすれ倹約節約思想は失われて不平等が現実化している。そういった時点での貧民救済とか愛の手運動は本末転倒ともいえよう。
犯されないバリアの外から、趣味的に指を出す少女的興味であってはならない。

つい昨日の昔の日本は、理想的な自然との融和を文化に昇華した希有の地域だったのは、言葉、家屋、食事のすべてに現われている。しかし前記の効果でその優美な倫理は崩壊して、消費経済の先頭に立って暴進している。山も海も人心も死に絶えた。
何の意見も対策も献策も行動も封じられているのは、核拡散防止運動ひとつを見てもわかろう。アメリカの意向無しには何も出来ないのだ。
華美飽食を担保にした間違った快楽追求の結果だ。

貧乏で未開発なインドネシア大列島
広大な赤道国家インドネシアは中道イスラム団体のリーダー ハジ・ワヒドが大統領になった。
ワヒドは、東チモール問題の帰結から欧米諸国から非難され孤立感のなかで、アジア重視に比重を移し、新たな外交関係樹立を模索しはじめている。

従来の発展途上国への援助漬けは他ならぬ消費経済への資源と市場を確保して、成長進歩の美名のもとに購買心射幸心を煽り、浪費を奨励するアメリカ型社会の樹立で、生産国家が利益を得る構造である。人は物に牛耳られ、企業国家の枠の中だけで生存が許される。
醜い競争社会は家庭を破壊し、暴力セックスを購買心に直結させるメデイア宣伝で、教育は崩壊し人心は荒廃した。都市への集中、環境破壊は説明するまでもない先進国の経験で、解決出来ないまま模索を続けている。
個人主義ひいては民主主義そのものも、ひとたび間違った方向へ行けば、エゴと多数決、弱肉強食の世界に変貌する。原発に反対する地区住民の不安は理解できるが、そのエネルギーを享受している。代替え物はない。空港反対高速道反対しながら航空便を利用し車に乗っている矛盾。
価値感の転回を叫ぶ所以である。それ以外に人間の無限ともいえる欲望の自制はおぼつかない。

オランダの強圧植民で、インドネシアは長く自立を閉ざされ辛吟した。
世界の成長から取り残された。それは期せずしてアジアの原形を留めさせた。
遅れている、進歩がない未開発後進国の蔑視は、はからずも汚濁した現代の文明を取り込まなかった姿で残されたといえないだろうか。
新時代に突入して、資源を貪る列強は成長の名の下に援助干渉を欲しいままに、消費を押し付けた。うわべの成長があったかどうか、都市化と貧富格差は増大して当然の結果が到来した。

新政権がこの非を察知して、独自の発展を模索するのだろうか。
ワヒド新大統領は、インドネシアの忌むべき植民地の歴史を秘めて、西欧主義拡張経済がひいては住民の幸せには遠いとの考えを持っているのだろうか。
オーストラリアの干渉をアジア支配の幻影として捉え、大統領就任演説でアジア重視を謳ったのだろうか。彼の演説は注意深く選択されていたが、持ち前の直言癖は談話で内心が漏れる。
「オーストラリア、たかだか2千万人、我が祖国は2億人、嫌うなら付き合わなくても結構、付き合いたいなら拒むこともない」
新進の経済学者、清貧思想、反体制派のクイック新経済担当調整大臣は、先進国経済援助は、この国に依存体質を助長し援助中毒にした。再考を要する重大な問題だと発言している。
水牛の背中に乗り、機械も無く田を耕し、馬車に乗って市場へゆく、アジアのゆったりとした暮らし。貧乏、未開発、贅を知らない地域の可能性だ。

インドネシアはイスラム発祥地から最遠の地であり、且つ最大信徒を擁する国である。
イスラムは気候風土の影響もあり変形してくるのは当然である。
インドネシアとの関連で、我々がイスラムの是非を問う立場にないこともまた当然である。
キリスト者とくらべて下品だとか野蛮だとかの発言は、とんでもない暴言で無知を晒しだしているようなものだ。イスラムを低級視する者は、この国に用はないはずだ。
我々には未知なる世界三大宗教の片鱗に触れる謙虚さこそが大切な心である。

少なくてもイスラムは綿々と記した上述とは相反する思想を持っている。
人間は誘惑には弱く華美飽食を望むのを、如何に清廉な日常を過ごせるかがイスラムの思想である。現今のテロさえも冷静に見れば、西欧キリスト者の征服と侵略による民族分離、領地分断の結果であるのは明白である。
インドネシアの建国は、想像を絶する西欧オランダの搾取からの民族解放の成果である。
アジア・アフリカが植民帝国主義の呪縛から脱却する戦いの成果である。
スハルトが政権を奪取した経緯は述べたが、以後の推移を注意深く観察すれば、米国の傘の下での我々の思考を再考する必要があるのではないか。地球維持の為にも。

イスラムに返る。
イスラムは土漠宗教ではなく商業都市に発した宗教である。
人間の強欲、欲情、我欲のすべてを認めた上で、それならどうすると教えた教義である。
教義はまことに理詰めで、数理的な美しささえ潜んでいる。
異教徒知識人が忌まわしき教義だとされる偶像崇拝個人崇拝拒否も、考えてみれば無機物石木の彫刻物を神に喩える愚を犯す人の誤りで、実に合理的な説諭といわねばならない。

敬虔で清楚な社会をイスラムの教義に従い造る。イスラム導師(イスラムには僧職すらいない)のワヒドが、インドネシア一億八千万のムスレムを結集して、アジアの新しい価値創造の大志を国造りに生かしてゆこうとしているのか。
独裁で完全に破綻した経済と人心を、新しく再生するのはむしろ好機である。
旧来の悪癖を捨てて新しい価値感のもと、原点に返る絶好の機会である。
忘れていたものを思い返すのだ。
華美飽食は禁畏、反社会的な賭博アルコール、女性の挑発的服装も教義に反する。
人はアルラーに対して平等である。
犯した過ちはインドネシア破綻だけではなく、現今の消費経済が齎した罪として認識しているのだろうか。
幸い、スカルノの叡智で、現在までインドネシアに列強の軍事基地はない。
アメリカは何としてもあの'安全保障'を盾にして軍事介入を果たしたく、スハルト時代援助を餌にして多くの国軍将校を米国で訓練し連携を深めてきた。日本の轍を踏ましたくはない。
莫大な過去の債務は?
先進諸国の経済援助はカンフル剤としては有効だが、中毒になってははならない。
是々非々の立場を貫く。インドネシアはハーグ円卓会議、戦時賠償、イリアン帰属、中国問題など外交手腕は日本の比ではなく老練でしたたかである。
マラッカ海峡及び近隣シーライン通行税を課徴する。(同海峡はインドネシア内海域である)。援助や借款でない権利として安全航路を保証する。
マンモスタンカー航路に隣接してリアウやマカッサルにドック、備蓄基地を建設して東アジアのエネルギー供給を確保する。
工業生産:各地の島嶼を指定して外国の自由な開発に任せた自由港にする。バタム、バンカ、ビアクなど適所いくらでもある。インドネシアは広大である。
時差から外国通貨など金融、情報システム構築には最良の地域で、シンガポールはこれで成功した。同国との緊密な連携は不足を補う強力なトライアングルを構築できよう。
知られていないが、インドネシアの情報伝達システムは充分に進歩している国なのである。

地球酸素再生地域である熱帯雨林は消失して、現在アマゾン流域と、東アフリカの一部そしてインドネシアにしか存在しない。これの破壊は人類の生存危機に直結する。
雨林を残す為に全世界各国からの支援と拠託を受ける。全地球人の生存税でもある。

人口爆発失業対策は?
地域振興策を加速させる。地方自治権の拡大で経済的な自由度は増し、郷里に帰って就職出来るチャンスが増す。都市集中化は中央政府専横が生んだ病根である。
農業振興策を発展させ、工業立国から農業立国への変換を図る。
赤道無風帯は豊富な農資源の宝庫で、現在まで眠っている。新しい食料穀物開発はラテン諸国との連携で生れよう。緯度的に同一で、必ず開発可能とみる。赤道地帯が地球生物種の発祥の地であるから。
インドネシアは旧種稲作でさえ、三毛作の恵まれた地域なのを忘れてはならない。
アメリカ一国支配に偏向する穀物食料独占を細分化させる。農業就業者が増加する。
東部地域の乾燥地帯は無類の家畜飼養適地である。広大な草地(アルンアルン)が放置されている。強制移住での紛糾は、同じ生産方法を摂る利害で生じたものだが、知恵を働かせて食肉用新種の開発投入等が軌道に乗れば、温暖な気候で成長は早く、新たな食糧供給が可能になり、移住問題も解決しよう。
新政権は海洋資源開発に意欲的であるのはまことに喜ばしい。
インドネシア列島は世界最長最大群島で、インド洋からアラフラ海を通り遠くオセアニア太平洋に面している。太平洋も西南のフロントドアであるが、過去海洋開発は漁業も含め、独自で調査開発したことはなかった。今回の内閣で海洋省が新設された。
インドネシアは世界最長の海岸線を持つ群島国家である。枯渇の懸念がある水産資源の復活は、赤道無風帯の穏やかな海面は養殖事業の最適地である。
インドネシアの美徳ゴトンロヨンが言葉通りに発揮されよう。
日本では失われてしまった家族主義、一家協力はまだこの国には残っている。
インドネシアは熱帯湿潤気候で生存コストが世界最小である。衣服住宅などエンゲル係数が掛からない。僅かな所得向上で、消費が増大するだろう。
今回の政変劇も、大学学生の力が大きかった。彼等はインターネットで遠隔地の同志と瞬時に情報を交換して成果を挙げた。不良分子の扇動で放火略奪に走ったのは扇動分子による無学な若者だった。
教育は必須の課題だが、上記の理由で学校設備(用地校舎備品)は寒冷地より格安である。
観光開発は、広大な大列島は世界有数のトロピカル・レイン・フォレストで、生物発祥の地である。数千米級の高山、雪渓、大河、草原、乾燥地、珊瑚礁とポテンシャルは世界一と言って過言ではない。
多民族国家は地方特有の風俗習慣、芸能を育む。観光資源は小さいバリだけではない。
バリが観光資源で独自の富を蓄積したように、列島は世界からゲストを呼べる。
多民族列島は人種違和感がない。
地下資源:豊富な地下資源が列強の触手を動かせた。貴重金属埋蔵量は世界有数である。
未開発の貴重鉱山、海底油田はまだ多く眠っている。開発はこれからである。
地の利:インドネシアは東西世界の回廊と呼ばれ、この地を経由しない限り東西交流は不可能である。
眠れるマチャン(虎)が目醒めて、世界人類に新しい価値感を与えられるようになるのを祈る。
壮大な人類の実験と挑戦を開始して欲しい。次のミレニアムに向かって。

 
 
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