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33 ニラの人魚 第三章 1 (邂逅)

フライト
  秋山は電報を受け取って二日目の夜、やっとこさ回線が繋がり民兵屯所で居眠りをして電話を待っていた吉田を掴まえた。話しを聞き、出来るだけ早くそっちに行くと告げた足でホテルインドネシアのコーヒーパーラーにイウンを呼び出した。
「海の友人に会った男がいる」
「Is that True definitely? 確かか」
「Benar確かだ」私は事の次第を話した。ウインは唸り声を上げたほどだった。
「で?」
「俺は明日にも飛びたい。君も来るか」
「Don't you leave me alone,一生一度のチャンスだ。」
ウインの段取りも早い。最速ではアンボンからMAF宣教団のチャーターをテルナテに飛ばす事で、彼はもう手配してくれた。
デジタルカメラはあっても防水ではなく、それを捜して借りるのに二日かかった。
ウインは休暇をとり、私は大統領がアセアン諸国歴訪に出たので地方を十日ばかり廻ると連絡を入れた。

セフテイベルトを緩めてウインは独り言のように話しはじめた。
「人間はもうとっくに忘れてしまったけど、潜水能力はかわうそやビーバー以上なんだ。アシカやイルカに匹敵する。潜水すると瞬時に水中対応して心拍数減少によって消費酸素が減少する。白いるかは100が20に、人間も72が35に。また空気を通す気道がひとりでに塞がり肺の空気官を収縮させる。心臓の鼓動は緩慢となり血液流路は変わり臓器に流れる。海洋哺乳類の持つ潜水反射作用が備わっている。類人猿にこの能力はない。
これを呼び覚ませば無呼吸で長時間水中にいることいることも可能になる。
催眠術としか今は言えないが、セレベスのボーイは生まれながらにこの性能を退化せずに持っていたのではないか」
「そうかもしれない。しかしウイン、我々は今もっと基本的な取り決めを作っておく必要がある。我々は地上で空気を吸う人間社会のしがらみに生きている欲望の塊だから」
「なんの事だい?」
「君はマキアンの件を誰かに話したか?」
「話す時間も呉れなかったくせに」

「それはよかった。いいか、我々がもし兄弟に会えたら君ならどうするね。I'm glad to see youお会い出来て光栄ですと言うだけか。違うだろう。画像に記録して大特ダネで通信社に送る。Wilemの名はジャカルタに帰る前に世界中に知れ渡る。違うか? 違わない。
俺もそうするからだ。そうして次は生け捕る算段をする。生物学が標本集めから始まったのはウオーレス以来の鉄則だ。捕獲して檻に入れて札をつける。生け捕れなければ殺してでも採集するだろう。兄弟は人間ではなく動物で殺人罪にも問われない。皮を切り血を抜くのはフロリダ海洋研究所か東大生物学教室の教授達か。いや、俺がそうしたいから敢えて言うのだ。俺もレポーターだから。シーラカンスより挌が違う特級のネタだから」
「そうだね、結局そうゆう事になるだろうね」
「ウイン、いまの段階ではまだ謎の域を出ていない。だが彼等に会ったらそれは幻ではなく彼等と戦わねばならなくなるのも現実なんだ。人間とはそうゆう悪しき性質でここまで生きてきたのだから。マキアンに行って、現場で真実会えればその時考えよう。
君と俺が幻だったと笑い合えば彼等は安泰だ。いま言いたいのはそれだけだ。」
雲の切れ目からジャワの茶色の川がジャワの海に茶色の紋様を描いて広がっていた。藍色の国に入るにはまだ間がある。
人が水辺を殊のほか好きなのは幼児だけではない。海浜に安らぎを覚え、海水浴、プール果ては入浴まで、乾燥サヴァンナが故郷のサルではない。海がふるさとなのだ。

 

 
 
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