慢学インドネシア {旅物語・海物語}
 
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8 バリへの東航 6

ギルマヌク・バリ
ゆっくりと余裕を持ってラロはギルマヌクの入り江にアプローチしている。
フェリイ桟橋は入り江でなく外海に造られていて我々の役には立たないのを初めて知ったし、潮も悪いので日の出まで待った。
マングロープの森が左右から迫り、巾着みたいに小さい湾だから用心にこしたことはない。恥部を探るようにしながら、恥ずかしげに初めての港に接近してゆく。
俺はクルージングも好きだが、出船入り船の何ともいえない情景が好きで船にのるといってもいい。沖の日数に比例してその感動も倍加する。
船には長い歴史があるから車や飛行機にはない許された何かがあるのだろう。
その速さが人間に見合ったものともいえよう。
ラロは人間らしい速さで、早起きの村人がここでは異形の白い船をぼんやり見つめるなかを、余りに透明で船が中空に浮遊しているように錯覚させるギリマヌクの泊りに、「ジャンカル(アンカー)!」
バリに着いた。

アンカーロープが数十米先まで見える。水底の貝から空き瓶、何でも透き通って見える。小便するのも気がひける。ラロのスターンのごく薄い油膜も気恥ずかしく、水をばちゃばちゃ掻き回したりする。
これがバリの、レッサースンダ最西端の水か。
ギリマヌクはジャワ島とのフェリイターミナル。外国人は何処からバリに来るのにも航空便だからこの港の名前は知らないが、一般にはバスを使うからフェリイボートがここに着けばやれやれとなる。あと数時間走れば憧れのバリ・デンパサールの街に着けるから。

港は観光バスや運送トラックで喧騒を極めていると想像したが、町ともいえない船着き場は妙に静かで、数台の馬車が客待ちしているだけだった。
腰痛はなった人しか分からない痛さだし、ムインはそれを言わないから、一日休養にあてて、明日の日の出、汐が上ったら出港としよう。まだ何も言わないのにソニはTシャツを換え、シロットは腕時計をさすっているので、小遣いを呉れてやる。
空港の横ベノア港まであと80マイル半日もあれば御の字だろう。

 

 
 
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