「最低の上司」その一 「最低の上司」その二 「最低の上司」その三
「最低の上司」その四 「最低の上司」その五 「最低の上司」その六
「最低の上司」その七 「最低の上司」その八

5.実体のない行動を自助努力と過大評価し、厚かましくも自分の「努力」とやらが部下がなすより十倍以上の成果をもたらすと心底思い込んでいる上司。

[解 題]

今迄努力どころか積極的な行動さえしたこともない者が、上署部による敬発や愚かな部下の見え透いた煽てに乗って、闇雲なやる気を起こした折りは要注意である.一人前になるまでにば、何年にも渡る絶え間ない努力を重ねるのが当然なのに、自分だけば人を見る目がない神様か、或いは狂った天使だかによって、最低限の日々の努力や苦痛を免除されていると本気で思っているのだ。従って、お仕着せの一週間に満たぬ海外旅行のお決まりの旅程を消化すれば、完壁な国際人に変身するし、片言の外国語を覚えれば、不思議にも現地人を凌ぐ言葉使いになってしまう。しかし幾ら現代社会の移り変わりが速く且つ激しい時代であるといってもこれではあんまりである。しかも見苦しくも二言目には外国旅行を話題にし、際限なく聞かされた挙げ句、耳のタコが化膿した部下を閉口させる。この態度は偽物を売り付ける卑劣な行為に等しく、誠実で地味な努力を積み重ねている人々ヘの侮辱である。愚鈍な上司の言動や行動が、良識ある部下の失笑を買い、鼻であしらわれている限り問題は無い。しかし例え役職だけでも組織上上司とされているために、多少思慮が足りない若人ば無批判に真似をし、顧客に対 し侮辱的な態度を身に付ける危険性を孕んでいる。延いては彼らが『人生を舐めてかかる不良青年』に堕落し、勤労意欲を持った新入社員にも厚顔無知を伝染させて行く。詰まる所彼らが組織をを腐敗させる張本人となり、組織はは阿呆の集団に変質してしまう。

[対 策]

このような上司は明らかに目障りで存在自体が不愉快である。何故なら自分は未熟だからと陰忍自重している部下の神経を、絶えず平気で逆撫でする無神経な輩だからである。例えば気力が充実した早朝にこの上司に遭遇すると、「やる気」は忽ちのうちに投げ遺りな重い気分へ転落し、宝石のように輝いていた気持ちは只の土くれへと堕落する。気にしなければ良いという意見は正論としては正しい。しかし人間は感情の生き物であるし、ましてこの型の上司の下に不幸にも部下として組み込まれた、荒削りだが未来ある若人が、哲人の如き精神力を備えるなど至難の技である。この意見は、同じ職らに居ながら上司と顔を合わせなければ良いと言うのと同様に非現実的であり、我が身に災いが降り掛かっていないのを良いことに、卑怯者が知ったふうに口にする。或は『長いものには巻かれ』る恥すべき悪弊の一つであり、『長いもの』になろうとも考えない敗北の教えなのだ。
この型の上司の行動とか発言の大半ば、嘲笑に値するから、迷わす軽蔑し鼻でせせら笑うのが良い,健康な優越感は得られるべくはないが、勤労意欲を喪失した不快感が、多少なりとも忘れられるのならば良し、とせねばなかろう。また最低の上司のなかでこの性向を持った者が、顧客の前で部下に最も恥すかしい思いをさせる。だが寧ろ逆に平然とし、一人で外交する折りに顧客と中身のある折衝を心がけることて顧客の信頼を勝ち取り、自らの成長を図るべきなのだ。そうすれば最低な上司との差は歴然とし、顧客の本音を聞く機会に恵まれる。本音の積み重ねによって顧客の心を掴めたのならば、一旦仕事が起きた折りには、実力以上の仕事を達成する機会も掴めるのである。
最低の状況に染まらず、顧客への奉仕の精神を忘れない限り、長期的に見た生き方としてこれは最も正しく、最も確かなのが何れ分かるであろう。
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